会計金融系

日商簿記

日商簿記ってどんな資格?

日商簿記検定試験は、日本商工会議所および各地商工会議所が主催する検定試験で、年間40万人が受験しています。
個人のお店から大企業まで、お金の出入りがある場所では必ず使用されているのが簿記です。そんな簿記について学び、
経営成績と財政状態を明らかにする技能を身につけることを目的として簿記検定が行われています。
簿記検定にも様々な種類がありますが、その中でも受験者が一番多いのが日商簿記検定試験であり、簿記検定の中では一番ポピュラーなものとなっています。

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 独占業務

なし

 ネット試験の受験も可能に

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、2020年12月よりネット試験(CBT方式)も実施されることとなりました(3級と2級のみ)。ネット試験は随時受験が可能であり、毎年2月、6月、11月の3回実施されるペーパー試験(統一試験)に加え、選択肢が増える形となりました。
随時受験が可能というのは大きなメリットである一方、試験日から逆算して勉強スケジュールを立てにくいというデメリットもあります。自分の中でしっかりとした目標をたて、自律して勉強を進めていくことが必要です。

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受験資格

なし。

日商簿記検定は、1級から3級まで受験資格の無い試験です。年齢、国籍など関係なく誰でも試験を受けることができます。また、3級に合格しなくても2級の受験が可能ですし、2級に合格しなくても1級の受験が可能です。
ただし、薬剤師の場合は学校で簿記の学習もしていないですし、基礎の基礎から学ぶためにまずは3級の受験がオススメです。

試験科目と概要

日商簿記検定の試験科目と試験概要は以下の通りとなっています。

 試験科目

3級 商業簿記
2級 商業簿記/工業簿記
1級 商業簿記・会計学/工業簿記・原価計算

商業簿記とは

商業簿記とは、商品を売買するお店を対象とした簿記のことであり、小売業や卸売業など多くの業種が対象となります。

日商簿記検定3級は工業簿記からの出題がなく、出題範囲は商業簿記のみとなっています。さらに、3級は商業簿記の中でも一部の範囲のみからの出題となっています。
2級になると、同じ商業簿記でも「リース取引」や「連結会計」などの範囲も追加となるため注意が必要です。

工業簿記とは

工業簿記とは主に製造業を対象とした簿記です。

医薬品で例えると分かりやすいですが、商業簿記では、薬局において「70円で仕入れた医薬品を100円で販売する」といった取引についての簿記です。

一方で工業簿記の場合、製薬メーカーにおいて「70円という販売価格をどう計算するか」といった内容の簿記になります。70円という販売価格を計算するためには、原薬の価格に加え、製造に必要な機械代、工場で働く人の人件費等を考慮する必要があります。

このようにして商品の原価を計算し、その過程をルールに従って記帳していくのが工業簿記となります。

 試験概要

日商簿記検定の概要は以下の通りです。

◎3級

試験科目 商業簿記
試験時間 60分
点数配分 100点

◎2級

試験科目 商業簿記/工業簿記
試験時間 90分(商業簿記+工業簿記)
点数配分 60点(商業簿記)+40点(工業簿記)

◎1級

試験科目 商業簿記・会計学/工業簿記・原価計算
試験時間 90分(商業簿記・会計学)+90分(工業簿記・原価計算)
点数配分 各科目25点(合計100点)

合格ライン

日商簿記検定の合格ラインは、3級・2級・1級すべてで70%以上となります。満点が100点ですので、70点以上で合格です。絶対評価のため、試験の難易度や他の受験生のレベルには影響を受けません。

ただし1級においては、1科目ごとの得点が40%以上の必要があります。1級は各科目が25点のため、10点未満の科目が1つでもあれば不合格となります。

合格率

日商簿記検定におけるペーパー試験(統一試験)の合格率は以下の通りです。

◎3級

受験者数 合格者数 合格率
2021年11月 49,095 人 13,296 人 27.1 %
2021年 6月 49,313 人 14,252 人 28.9 %
2021年 2月 59,747 人 40,129 人 67.2 %
2020年 11月 64,655 人 30,654 人 47.4 %

◎2級

受験者数 合格者数 合格率
2021年11月 22,626 人 6,932 人 30.6 %
2021年 6月 22,711 人 5,440 人 24.0 %
2021年 2月 35,898 人 3,091 人 8.6 %
2020年 11月 39,830 人 7,255 人 18.2 %

◎1級

受験者数 合格者数 合格率
2021年11月 9,194 人 935 人 10.2 %
2021年 6月 7,594 人 746 人 9.8 %
2021年 2月 6,351 人 502 人 7.9 %
2020年 11月 8,553 人 1,158 人 13.5 %

前述の通り、日商簿記検定は絶対評価の試験です。そのため、試験回によって合格率にかなり上下があります。

勉強時間

日商簿記検定の合格に必要な勉強時間は、一般的には下記の程度必要と言われています。

3級 約80時間
2級 約200時間
1級 約500時間

ただしこれは予備校等を利用する場合の勉強時間であり、独学の場合には1.25倍程度の勉強時間が必要です。さらに薬剤師の場合は本当にゼロからのスタートとなるため、もう少し多めに見積もっておいた方が良いでしょう。

試験の日程

※2021年6月試験の場合

【申込期間】
4月頃(各商工会議所によって異なる)

【試験日】
6月13日

【合格発表】
7月頃

薬剤師・薬局業務への活かし方

簿記の考え方は薬局においても有効です。医薬品の売上(診療報酬)、仕入れ、日々の経費。これらは全て、他の業種と同様に簿記のルールに則って日々記帳されています。その簿記のルールを学ぶことで、薬局運営におけるお金の動きを、より客観的に考えることが出来るようになります。管理薬剤師や、さらに上の役職を目指すのであれば、せめて3級程度の知識は持っていると仕事に役立つと思います。

試験データ

資格名 日商簿記
資格区分 検定試験
受験資格 なし
合格率 3級:約30%
2級:約25%
1級:約10%
試験料 3級:2,850円
2級:4,720円
1級:7,850円
試験日 2022年2月27日、6月12日、11月20日
問い合わせ先 簿記/商工会議所の検定試験