医療福祉系

医療経営士

医療経営士

医療経営士ってどんな資格?

医療経営士とは、医療機関を経営・マネジメントするのに必要な知識および経験を有し、経営課題を解決するための能力があるとして、一般社団法人日本医療経営実践協会が認定している民間資格です。同協会が開催する試験に合格し、協会に入会・登録することで「医療経営士」を名乗ることができます。

独占業務や名称独占などはありません。

 資格の概要

医療経営士には1級~3級が存在します。

  • 医療経営士1級
  • 医療経営士2級
  • 医療経営士3級

さらに医療経営士1級であれば、年間15,000円(税込)の登録料を支払うことで「医療経営指導士」の名称も使用できるようになります。

  • 医療経営指導士

大手製薬企業や医薬品卸が力を入れたことで、医療経営士3級を持つMR・MSがここ数年で飛躍的に増えました。今後は、医療経営士1級や2級、医療経営指導士まで取得して初めて他者との差別化が図れるかもしれません。

受験資格

医療経営士試験の受験資格は以下のとおりです。

3級 なし
2級 3級に合格
日本医療経営実践協会の正会員
1級 2級に合格
日本医療経営実践協会の正会員

なお、1級の試験に合格後、協会の認定を受けて初めて医療経営士1級となります。
認定の要件としては、

  • 現に3年以上、医師・看護師・薬剤師・医療経営士等有資格者として医療機関に勤務していること。(医療経営士等有資格者としての医療機関勤務が3年に満たない者は、医療機関勤務が5年以上あればよい。)

となっています。

 日本医療経営実践協会の正会員になるには

日本医療経営実践協会の正会員となるためには、医療経営士3級の試験に合格し、合格証明書交付(合格証番号の発行日)より6ヶ月以内に資格認定登録の申請をする必要があります。6ヶ月を過ぎてしまうと、資格認定登録できなくなってしまうので注意が必要です。

資格認定登録の費用としては

  • 登録料:10,000円
  • 年会費:10,000円

となっています。

無事に認定が完了すると、「医療経営士3級」の認定証(会員証)が発行されます。

試験科目・形式

医療経営士3級

1. 医療経営史
2. 日本の医療政策と地域医療システム
3. 日本の医療関連法規
4. 病院の仕組み/各種団体、学会の成り立ち
5. 診療科目の歴史と医療技術の進歩
6. 日本の医療関連サービス
7. 患者と医療サービス
8. 医療倫理と臨床倫理
9. 医療に関する最近の動向/時事

医療経営士2級

医療経営士2級には、「第1分野」と「第2分野」の2分野があります。「第1分野」または「第2分野」のみ合格した場合、合格番号の発行日より2年以内に行われる試験において、不合格だった分野のみを合格する必要があります。

  • 第1分野

1.医療経営概論
2.経営理念・ビジョン/経営戦略
3.医療マーケティングと地域医療
4.医療ICTシステム
5.組織管理/組織改革
6.人的資源管理
7.事務管理/物品管理
8.病院会計
9.病院ファイナンス
10.医療法務/医療の安全管理
11.医療に関する最近の動向/時事

  • 第2分野

1.診療報酬制度と医業収益
2.広報・広告/ブランディング
3.管理会計
4.医療・介護の連携
5.経営手法の新戦略
6.多職種連携
7.業務改革
8.チーム医療と現場力
9.医療サービスの多様化と実践
10.医療に関する最近の動向/時事

医療経営士1級

医療経営士1級では、「第1次試験」および「第2次試験」の両方に合格する必要があります。「第1次試験」の合格者にのみ「第2次試験」の案内が来ます。

  • 第1次試験

1、短文記述形式(10題・90分)

下記A、B、Cの3分野から出題する課題についてそれぞれ短文記述形式で解答します。

 

A「病院経営戦略論(Ⅰ)」 B「病院経営戦略論(Ⅱ)」 C「病院経営戦略論(Ⅲ)」
1.病院経営戦略論 1.医療ガバナンス 1.DPCによる戦略的病院経営
2.バランスト・スコアカード 2.医療品質経営 2.経営形態
3.クリニカルパス/地域医療連携 3.医療情報セキュリティマネジメントシステム 3.医療コミュニケーション
4.医工連携 4.医療事故とクライシス・マネジメント 4.保険外診療/附帯業務
5.介護経営

2.論文記述形式(2題・90分)

出題テーマについて、論文記述形式で自身が考える病院の経営戦略及び実践手法を論じます。

  • 第2次試験

第2次試験は、プレゼンテーション形式に口頭試問と個人面接のため、特に試験科目などはありません。

試験の形式

◎医療経営士3級

出題形式 五肢択一式
出題数 50問
試験時間 10:00~11:20(80分)

◎医療経営士2級

出題形式 五肢択一式
出題数 第1分野:50問
第2分野:50問
試験時間 第1分野:13:30~14:50(80分)
第2分野:15:15~16:35(80分)

◎医療経営士1級

  • 第1次試験
出題形式 短文記述・論文記述
出題数 ・短文記述:10問
・論文記述:2問
試験時間 ・短文記述:90分
・論文記述:90分
  • 第2次試験
出題形式 口頭試問・個人面接
試験時間 口頭試問と個人面接あわせて20分

合格ライン

◎医療経営士3級
総得点の6割程度(上位40~50%程度で調整)

◎医療経営士2級
公表なし(上位25~30%程度で調整)

◎医療経営士1級
公表なし(「医療経営士1級」として相応しい能力及び人格を有しているかどうかを主な合否の基準とする)

合格率

◎医療経営士3級

受験者数 合格者数 合格率
第33回 1,306 人 473 人 36.2 %
第32回 1,845 人 605 人 32.8 %
第31回 1,896 人 865 人 45.6 %
第30回 1,496 人 637 人 42.6 %

◎医療経営士2級

受験者数 合格者数 合格率
第21回 459 人 112 人 24.4 %
第20回 419 人 114 人 27.2 %
第19回 335 人 102 人 30.4 %
第18回 574 人 163 人 28.4 %

◎医療経営士1級

受験者数 合格者数 合格率
第9回 74 人 23 人 31.1 %
第8回 49 人 13 人 26.5 %
第7回 40 人 9 人 22.5 %

勉強時間

医療従事者であれば、数日間の勉強で合格できると言われています。薬剤師であれば医療用語は問題ありませんので、日本の医療制度や経営に関する一般的な知識を勉強しておきましょう。

とは言っても、最近は試験も難化傾向にあり、かなり細かい内容も問われます。自分の得意な分野から出題されるかどうか、運の要素も大きいです。

試験日程

※2022年2月試験の場合

【受験申込期間】

  • 1月4日~1月24日

【試験日】

  • 2月27日

【合格発表日】

  • 3月28日

薬剤師・薬局業務への活かし方

薬剤師業務というよりは、薬局運営・マネジメントに活かすことができます。
薬局は医療提供施設であると同時に、小売店のような側面もあります。そこには、一般的なマネジメントとは異なる、医療業界特有のマネジメントが必要です。
医療経営士の勉強をすることで、薬局を運営していくうえで知っておきたい様々な内容を学ぶことができ、薬局のマネジメントに活かすことができます。

試験データ

資格名 医療経営士
資格区分 民間資格
受験資格 【3級】なし
【2級】あり
【1級】あり
合格率 【3級】35%前後
【2級】25%前後
【1級】25%前後
試験料 【3級】9,100円
【2級】1分野のみ:14,000円 両分野:16,000円
【1級】50,000円
試験日 【3級】年3回(2月、6月、10月)
【2級】年2回(6月、10月)
【1級】年1回(第1次試験:9月、第2次試験:12月)
問い合わせ先 一般社団法人 日本医療経営実践協会