会計金融系

税理士

税理士ってどんな資格?

税理士とは、顧客や顧問先の依頼に応じて税務書類を作成し、税務上の指導や助言を行う、税務のプロフェッショナルです。

独占業務

あり。

税理士の独占業務は、大きく分けると

  1. 税務官公署に提出する申告・申請・届出などを行う「税務の代理」
  2. 確定申告書や青色申告承認申請書・不服申立書を作成する「税務書類の作成」
  3. 所得金額や税額の計算、税法上の処理について相談に応じる「税務の相談」

以上の3つとなります。

これらの仕事は税理士だけに認められた独占業務ですが、他にも企業の経営コンサルタント業務をメインとするような税理士もいます。企業内の税務ポジションで活躍する税理士もいるなど、様々なキャリアの選択肢がある資格です。

受験資格

税理士試験は、学識、資格、職歴といった様々な分野の受験資格が定められており、いずれか一つの要件を満たせば、受験資格を有することになります。

◎学識による受験資格

  1. 大学又は短大の卒業者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
  2. 大学3年次以上の学生で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
  3. 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
  4. 司法試験合格者
  5. 公認会計士試験の短答式試験に合格した者(平成18年度以降の合格者に限る)

◎資格による受験資格

  1. 日商簿記検定1級合格者
  2. 全経簿記検定上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限られます。)

◎職歴による受験資格

  1. 法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
  2. 銀行・信託会社・保険会社等において、資金の貸付・運用に関する事務に2年以上従事した者
  3. 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者

 薬剤師が受験するためには

この受験資格を見てもらえれば分かりますが、普通に薬学部を卒業して、普通に薬剤師として働いているだけでは受験資格がありません。
可能性としてあり得るのは、

  • 大学又は短大の卒業者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者

総合大学を卒業している方は、大学時代の履修科目を確認してみましょう。

今後受験資格を満たそうと考えている方は、資格あるいは職歴で受験資格を満たす必要があります。具体的には、

  • 薬剤師として働きながら「日商簿記検定1級」「全経簿記検定上級」の合格を目指す
  • 薬剤師として働くのを辞めて、会計事務所・税理士事務所等に2年間務める

こういった方法があります。
いずれにしても、日商簿記1級や全経簿記上級に合格するのも相当大変なので、それなりの覚悟をもって税理士試験の受験を決める必要があります。

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試験科目

税理士試験の試験科目は、会計学2科目(必須)と税法9科目のうち選択する3科目で合格する必要があります。

また、税理士試験は科目合格制をとっており、一度に5科目全て合格する必要はありません。受験する科目数も任意となっているので、毎年1科目ずつ受験し、1科目ずつ合格していくということも可能です。なお合格科目は生涯有効となります。

◎会計学(必須科目)

  1. 簿記論
  2. 財務諸表論

この2科目については、必ず合格する必要があります。

◎税法(選択必須科目)

  1. 所得税法
  2. 法人税法

税法については選択制ですが、この2科目のうちどちらかは選択し、合格する必要があります。

◎税法(選択科目)

  1. 消費税法または酒税法(どちらか1科目しか選択できない)
  2. 相続税法
  3. 固定資産税
  4. 国税徴収法
  5. 住民税または事業税(どちらか1科目しか選択できない)

科目によってボリュームや難易度も異なりますし、税理士として働いていく上で高く評価される科目というのもあります。そういったことも踏まえ、税法については冷静に科目選択をする必要があります。

登録には2年の実務経験が必要

税理士として登録するためには、2年の実務経験が必要となります。(公認会計士や弁護士が税理士登録する場合を除く)
このことを踏まえると、最終的に税理士として働くつもりなら、会計事務所や税理士事務所に2年間勤めて受験資格を満たす方が効率的といえます。

なお、登録には

  • 登録手数料:50,000円
  • 登録免許税領収証書:60,000円

の納付が必要で、税理士会による面接等が行われます。

合格ライン

合格ラインは、各科目60%以上で合格。合格科目が5科目に達したとき、税理士試験合格となります。
しかしながら、毎年合格率が10%~15%とある程度一定のため、実際のところは相対評価であり、会計学の科目は55%程度、税法の科目は70%程度で合格になると言われています。

合格率

税理士試験の合格率は以下の通りです。

受験者数 一部科目合格者数 5科目到達者数 合格率
2020年 26,673 人 4,754 人 648 人 20.3 %
2019年 29,779 人 4,639 人 749 人 18.1 %
2018年 30,850 人 4,044 人 672 人 15.3 %
2017年 32,974 人 5,839 人 795 人 20.1 %
2016年 35,589 人 4,882 人 756 人 15.8 %

科目合格があるため、単純に合格率を見ても他資格との比較が難しくなっています。

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勉強時間

一般に、税理士試験に合格するために必要な勉強時間は、3000時間前後といわれています。内訳としては『1科目500時間×5科目』です。

しかしこの時間は予備校等の講義を利用した場合の時間であり、独学の場合は倍以上かかる可能性があります。実際のところ、税理士試験に独学で合格する方はかなり少ないです。もし薬剤師や調剤事務として仕事をしながら税理士試験合格を目指すならば、受験資格を満たす過程も含め、予備校の利用は必須といえます。

試験の日程

※令和4年試験の場合

【受験申込期間】
5月10日~5月20日

【試験日】
8月2日~8月4日

【合格発表】
11月30日

薬剤師・薬局業務への活かし方

薬剤師業務に活きることは、ほぼ無いと言っても良いでしょう。

薬局経営者であったり、本社の管理部門であれば活きてくることも多いです。しかし、受験資格を満たすことも含め、薬剤師として働きながらでは難しいのが税理士試験です。現実的には、医薬品業界に強い税理士として働いていく方が無難でしょう。

試験データ

資格名 税理士
資格区分 国家資格
受験資格 あり
合格率 一部科目合格を含めると、約20%前後
試験料 1科目:4,000円
2科目:5,500円
3科目:7,000円
4科目:8,500円
5科目:10,000円
試験日 例年8月上旬
問い合わせ先 税理士試験/国税庁