キャリアコンサルタントってどんな資格?
キャリアコンサルタントは、2016年に国家資格となった資格です。
キャリアコンサルティングを通じて相談者が、
- 自分の適性や能力、関心などに気づく
- 自己理解を深める
- 職業の選択や能力開発について主体的に行動する
そういった支援を行うのがキャリアコンサルタントです。
名称の似た資格としてキャリアコンサルティング技能士というものがあります。違いについては下の記事を読んでみてください。
独占業務
独占業務は無く、名称独占資格となります。
キャリアコンサルタントの名称を使用するためには、試験合格後に登録手続きが必要となります。
2団体が実施している
初めて試験について調べる時に混乱することがあるのですが、キャリアコンサルタント試験は2団体が実施しています。
しかし、この後出てくる受験資格や受験費用、試験科目は同じです。
試験は学科試験と実技試験から構成されるのですが、学科試験は2団体で問題が同じです。一方で実技試験は問題が異なります。その結果として、合格率なども若干ですが異なってきます。
キャリアコンサルタント資格の流れ
①受験資格
キャリアコンサルタント試験を受けるためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した方(大半の方が選択)
- 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する方
- 技能検定キャリアコンサルティング技能検定の学科試験又は実技試験に合格した方
②試験について
試験科目
- 職業能力開発促進法その他関係法令に関する科目
- キャリアコンサルティングの理論に関する科目
- キャリアコンサルティングの実務に関する科目
- キャリアコンサルティングの社会的意義に関する科目
- キャリアコンサルタントの倫理と行動に関する科目
試験の形式
キャリアコンサルタント試験には、学科試験と実技試験(論述・面接)があります。
まず最初に、学科試験と実技試験(論述)が同日に行われます。
学科試験
出題形式 | 四肢択一式 |
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問題数 | 50問 |
試験時間 | 10:30~12:10(100分) |
実技試験(論述)
出題形式 | 記述式 |
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問題数 | 4問(JCDA:2事例 キャリ協会:1事例) |
試験時間 | 14:30~15:20(50分) |
その1~2週間後に実技試験(面接)が行われます。
実技試験(面接)
出題形式 | ・ロールプレイ(受験者がキャリアコンサルタント役となり、相談を行う。) ・口頭試問(自らの相談について試験官からの質問に答える) |
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問題数 | 1ケース |
試験時間 | 20分(ロールプレイング15分、口頭試問5分) |
実技試験(面接)の日程は事前に試験団体から指定されます。あらかじめ候補日が公表されていますので、スケジュールを開けておく必要があります。
試験免除について
下記に該当する方は、キャリアコンサルタント試験で該当する試験が免除されます。
- キャリアコンサルタント学科試験又は実技試験においてどちらか片方の合格者
→合格している試験が免除 - 技能検定キャリアコンサルティング技能検定の1級又は2級の学科試験、実技試験のどちらか片方の合格者
→キャリアコンサルタント試験の対応する試験が免除
受験費用
学科試験 | 8,900円 |
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実技試験 | 29,900円 |
合格ライン
学科試験
- 100点満点で70点以上の得点
実技試験
- 150点満点で90点以上の得点(論述50点満点、面接100点満点)
※論述は配点の40%以上の得点が必要
※面接は評価区分「態度」「展開」「自己評価」ごとに満点の40%以上の得点が必要
合格率
- JCDA
申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
第17回 学科 | 1,840 人 | 1,682 人 | 976 人 | 58.0 % |
実技 | 1,780 人 | 1,690 人 | 1,004 人 | 59.4 % |
第16回 学科 | 2,053 人 | 1,874 人 | 1,197 人 | 63.9 % |
実技 | 2,217 人 | 2,084 人 | 1,325 人 | 63.6 % |
第15回 学科 | 3,470 人 | 3,198 人 | 2,390 人 | 74.7 % |
実技 | 3,308 人 | 3,130 人 | 2,013 人 | 64.3 % |
- キャリ協会
申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
第17回 学科 | 2,217 人 | 2,076 人 | 1,160 人 | 55.9 % |
実技 | 2,388 人 | 2,277 人 | 1,299 人 | 57.0 % |
第16回 学科 | 2,419 人 | 2,269 人 | 1,481 人 | 65.3 % |
実技 | 2,704 人 | 2,608 人 | 1,548 人 | 59.4 % |
③登録手続き
キャリアコンサルタントと名乗ったり、キャリアコンサルタントとして仕事を行うためには、キャリアコンサルタントWEBセンターで登録を行う必要があります。
また、登録の費用は以下の通りです。
登録免許税 | 9,000円(収入印紙) |
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登録手数料 | 8,000円(非課税) |
④登録後も更新が必要
キャリアコンサルタントの登録は、5年ごとに更新が必要となります。
更新のためには、以下の2種類の講習を受ける必要があります。
知識講習 | 8時間以上 |
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技能講習 | 30時間以上 |
勉強時間
学科試験に合格するための勉強時間は100~200時間と言われています。
しかし、多くの受験生は受験要件を満たすため、厚生労働大臣が認定する講習を受講します。この認定講習が、講座にもよりますが通信と通学あわせて150時間前後となっています。最近ではzoomにも対応して受講しやすくなっていますが、それでもある程度の時間が必要となります。また、この認定講習の受講が実技試験対策にもなってきます。
試験の概要
受験要件の1つである認定講習の受講に時間がかかるため、だいたい半年前から準備を開始します。
【2022年7月の試験を目標とする場合】
2021年12月~2022年2月頃にスタートする認定講習を受講する
↓
約3ヶ月で講習修了
↓
2022年4月末までに受験申請
↓
2022年7月に受験
このようなスケジュール感となります。
薬剤師・薬局業務への活かし方
薬局での業務においては、キャリアコンサルタントの資格を活かす機会はあまり無いかもしれません。
しかし、認定講習を通して
- 信頼関係の構築
- 傾聴力
こういったスキルを系統立てて学ぶことができます。これらは、薬剤師・薬局業務にも活きてくるのではないでしょうか。
また、キャリアコンサルタントという肩書きを持つことで、自身のキャリアに悩む薬剤師や調剤事務の相談にのる機会が増えるかもしれません。
また将来的に会社の人事部等で働きたいと考えている人は、取得しておいて損はないでしょう。
試験データ
資格名 | キャリアコンサルタント |
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資格区分 | 国家資格 |
受験資格 | あり |
合格率 | 50%~60% |
試験料 | 学科試験8,900円+実技試験29,900円 |
試験日 | 年に3~4回あり |
問い合わせ先 | 特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(JCDA) 特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会(キャリ協会) |