社会福祉士ってどんな資格?
社会福祉士とは、1987年に制定された「社会福祉士および介護福祉士法」によって位置付けられた、社会福祉業務の国家資格です。ソーシャルワーカーとも呼ばれます。
加齢や病気、障害など、様々な理由により通常の日常生活を送ることが困難となった方の相談に応じ、福祉サービスや保健医療サービスとの橋渡しを行います。
独占業務
なし。
独占業務はありませんが、社会福祉士は名称独占となっており、資格を保有していなければ社会福祉士を名乗ることができません。
受験資格
薬剤師や調剤事務が社会福祉士の資格を取得しようと考えた場合、まず受験資格を満たすのに時間を要します。
社会福祉士の受験資格は学歴や実務経験によって12通りあり、大きく3つに分けられます。
◎福祉系大学・短大ルート
- 福祉系大学等(4年)+指定科目履修
- 福祉系短大等(3年)+指定科目履修+相談援助実務(1年以上)
- 福祉系短大等(2年)+指定科目履修+相談援助実務(2年以上)
◎短期養成施設ルート
- 福祉系大学等(4年)+基礎科目履修+短期養成施設等
- 福祉系短大等(3年)+基礎科目履修+相談援助実務(1年以上)+短期養成施設等
- 福祉系短大等(2年)+基礎科目履修+相談援助実務(2年以上)+短期養成施設等
- 社会福祉主事養成機関(2年以上)+相談援助実務(2年以上)+短期養成施設等
- 児童福祉士司/身体障害者福祉司/査察指導員/知的障害者福祉司/老人福祉指導主事の実務経験4年+短期養成施設等
◎一般養成施設ルート
- 一般大学等(4年)+一般養成施設等
- 一般短大等(3年)+相談援助実務(1年以上)+一般養成施設等
- 一般短大等(2年)+相談援助実務(2年以上)+一般養成施設等
- 相談援助実務(4年)+一般養成施設等
この中で、薬剤師が働きながら社会福祉士の資格を取ろうと思ったら
◎一般養成施設ルート
一般大学等(4年)+一般養成施設等
この要件を満たすのが一般的です。
一般養成施設は1年~1年半の期間が必要ですが、土日や夜間のスクーリング、eラーニングを用いて、働きながらでも学びやすい環境が整っています。
一方で調剤事務の場合、大学を卒業しているかどうかでルートが変わります。
費用はそれなりに高額ですが、教育訓練制度を利用できる講座が多いです。
試験科目
試験科目は、以下の19科目(18科目群)です。合格基準では、「就労支援サービス」と「更生保護制度」をあわせて1科目群としています。
◎共通科目
①人体の構造と機能及び疾病(7問)
②心理学理論と心理的支援(7問)
③社会理論と社会システム(7問)
④現代社会と福祉(10問)
⑤地域福祉の理論と方法(10問)
⑥福祉行財政と福祉計画(7問)
⑦社会保障(7問)
⑧障害者に対する支援と障害者自立支援制度(7問)
⑨低所得者に対する支援と生活保護制度(7問)
⑩保健医療サービス(7問)
⑪権利擁護と成年後見制度(7問)
◎専門科目
⑫社会調査の基礎(7問)
⑬相談援助の基盤と専門職(7問)
⑭相談援助の理論と方法(21問)
⑮福祉サービスの組織と経営(7問)
⑯高齢者に対する支援と介護保険制度(10問)
⑰児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(7問)
⑱就労支援サービス(4問)
⑲更生保護制度(4問)
社会福祉士の試験科目は19科目(18科目群)と非常に幅広いのが特徴です。受験生は、大学や専門学校を卒業予定の学生だけでなく社会人として働きながら受験する方も多くなっており、勉強時間をいかに確保するかが合格するための重要なポイントになってきます。
精神保健福祉士との同時受験が可能
社会福祉士と精神保健福祉士の国家試験では共通科目が設定されています。
その名の通り、共通科目に関しては社会福祉士と精神保健福祉士で同じ問題となっており、同じ年度に両方の国家試験を受験することが可能です。
共通科目は11科目で、人体の仕組みや現代社会・福祉行政に関する項目、権利擁護に関わる制度などが出題されます。
一方、専門科目は社会福祉士の場合8科目(精神保健福祉士は6科目)で、社会福祉士・精神保健福祉士それぞれの業務で必要な知識・技術について出題されます。社会福祉士試験では相談援助の手法をはじめ、児童・家庭や高齢者への支援に必要な法令などが主な出題内容です。
なお、精神保健福祉士の資格をすでに持っている場合、社会福祉士試験の共通科目は免除となります。
合格ライン
合格ラインは、下記の2つの条件を満たす必要があります。
- 問題の総得点の60%程度を得点。(問題の難易度により補正あり)
- ①を満たした者のうち、18科目群すべてにおいて得点があった者。
これはつまり、すべての科目(18科目群)で1点以上得点を取る必要があるということです。そのため、苦手科目を得意科目でカバーすることができません。試験範囲は非常に広いですが、満遍なく勉強して穴を作らないことが重要となります。
※合否判定においては、⑱就労支援サービス(4問)と⑲更生保護制度(4問)の2科目を1科目群として扱います。
合格率
近年の試験では25%~30%の合格率で推移しています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2021年 | 35,287 人 | 10,333 人 | 29.3 % |
2020年 | 39,629 人 | 11,612 人 | 29.3 % |
2019年 | 41,639 人 | 12,456 人 | 29.9 % |
一方で精神保健福祉士試験の合格率は60%台で推移しており、社会福祉士試験の方が合格率が低いことが分かります。
勉強時間
社会福祉士資格試験に合格するための勉強時間は、少なくても300時間が目安とされています。しかし、そもそもの受験資格を満たすための過程が様々なため、あくまでも目安と捉えておいた方が良いでしょう。
試験の概要
社会福祉士試験は、例年2月上旬に実施されます。
※2021年度の場合
【受験申込書の受付期間】
2021年9月9日~10月8日
【試験日】
2022年2月6日
【合格発表】
2022年3月15日
薬剤師・薬局業務への活かし方
薬剤師は薬を通して患者様と関わります。その患者様には当然ですが日常生活があり、日常生活に困りごとを抱えている患者様も多いです。
社会福祉士の勉強をすることで、そういった日常生活の困りごとについての理解が深まります。
日常生活に関するアドバイスもしてあげることで、患者様との信頼関係も深まり、医療についてもより良いサービスを提供しやすくなるはずです。
試験データ
資格名 | 社会福祉士 |
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資格区分 | 国家資格 |
受験資格 | あり |
合格率 | 25%~30% |
試験料 | 【精神保健福祉士のみ】19,370円 【社会福祉士と同時受験】36,360円 【共通科目免除】16,230円 ※令和3年度試験の試験料 |
試験日 | 年1回 例年2月上旬 |
問い合わせ先 | 社会福祉振興・試験センター |