ビジネスや経営について学んだり資格を取得したいと思った時、中小企業診断士やMBAがよく挙げられます。
しかし、この2つの資格がどう違うのか、自分にはどちらが向いてるのか、判断の付く方は少ないのではないでしょうか。
今回、これらの資格の特徴や取得方法、どういった方に向いているかを比較しながら紹介します。
資格の概要
中小企業診断士は、中小企業支援法に基づく国家資格です。コンサルティングに関する唯一の国家資格であり、合格率は約5%という難関資格になります。
MBAとはMaster of Business Administrationの略称です。日本語では経営学修士号あるいは経営管理修士号と呼ばれ、経営学の大学院修士課程を修了すると授与されます。つまり、MBAは資格というよりは「学位」にあたります。
資格の取得方法
中小企業診断士は、まず選択式の第1次試験、筆記式および口述式の第2次試験からなる国家試験に合格する必要があります。その後、登録要件として実務経験を満たすか、実務補習を受講することで中小企業診断士として登録できるようになります。また登録の有効期間は5年間で、その都度講習を受けるなどして更新していく必要があります。
MBAは学位であることから、国内や国外の大学院に入学し、卒業する必要があります。平日の夜間と休日のみの大学院や、最近ではオンライン授業のみの大学院もあるため、仕事を続けながらでも通うことは可能です。
取得にかかる費用
上記の通り、両資格では取得方法が全く異なることから、取得にかかる費用にもかなりの違いがあります。
中小企業診断士は国家試験に受かりさえすれば良いため、極論を言えば第1次試験と第2次試験の費用約30,000円で取得できます。ただし実際のところは、
- 資格予備校に通う費用:10万~20万円
- 実務補習の費用:約15万円
- 合格後に中小企業診断協会に入会する費用:5万円前後(都道府県により異なる)
などの費用がかかってくる可能性もあります。
一方でMBAは、
- 国内MBA:100万~300万円
- 海外MBA:700万~1,000万円
かなりの費用となってきます。
学ぶ内容
中小企業診断士とMBAで学ぶ内容が大きく異なるわけではありませんが、その目的が大きく異なるわけではありません。
しかし、その目的が大きく異なります。
中小企業診断士は、あくまでも外部から中小企業の経営診断や助言ができるというコンサルティングが目的の資格です。
一方でMBAは、自らが経営者として意思決定し、戦略を立案、実行する能力を身につけることを目的としています。
取得後のキャリア
中小企業診断士もMBAも、企業内でのキャリアアップを目的に取得されることも多いです。
しかし、もし独立するとなれば、中小企業診断士はその名の通り中小企業のコンサルティングを行っていくこととなるでしょう。中小企業診断士として登録することで、自治体からの専門家派遣といった行政協力や、商工会議所等での経営相談といった仕事に応募することもできます。
一方でMBAは、自ら起業し会社を経営していくこととなるでしょう。しかしMBAは大学院によってカリキュラムが異なるため、自分の目標にあった大学院をしっかり選ぶ必要があります。またMBAを取ったからといって何か仕事が出来るようになるわけでもありません。中小企業診断士が取得して独立という流れがスムーズな一方、MBAは独立して起業→経営しながらMBA取得という流れの方が自分に合った大学院を選びやすく、スムーズと言えるでしょう。
どちらの取得が向いているか
以上、ここまで中小企業診断士とMBAの特徴や違いについて紹介しました。
最後に、どういった方はどちらの取得が向いているかをまとめます。
中小企業診断士が向いている方
- 経営について体系的に学びたい
- 外部から中小企業のコンサルティング業務を行いたい
- 中小企業診断士の資格が必要な公的機関での業務に就きたい
- 空いてる時間を使って資格を取得したい
MBAが向いている方
- 経営について体系的に学びたい
- 自分の会社経営をレベルアップしたい
- 比較的時間に余裕がある
- 資金に余裕がある
- 人的ネットワークを築きたい
最後に
MBAが向いている方の、最後の
「人的ネットワークを築きたい」
これがMBA取得の最大のメリットといえます。
MBAは大学院に複数年通うという性質上、様々な経営者や大企業の社員と知り合うことができます。一緒に学び、課題をこなした絆というのは強いものです。そうしてできた人的ネットワークは、その後の会社経営やキャリアアップにおいて必ず役立つはずです。