司法書士ってどんな資格?
司法書士は、不動産登記・商業登記の「登記業務」をメインに、高齢化社会において重要な「成年後見制度」「相続」など時代のニーズから生まれた業務も手掛けます。様々な法律相談も行うことから、「街の身近な法律家」として社会に貢献しています。
独占業務
- 登記または供託手続きの代理
- 法務局に提出する書類の作成、審査請求または不服申立ての手続きの代理
- 裁判所、検察庁への提出書類の作成
- これらに関して依頼者からの相談に乗ること
試験科目
司法書士試験には受験資格の要件がなく、年齢や経歴に関わらず、誰でも受験可能な試験です。
択一試験
択一試験は午前の部と午後の部に分かれます。
午前の部
試験形式 | マークシートによる択一式 |
---|---|
問題数 | 35問 |
試験時間 | 9:00~11:30(120分) |
- 憲法
- 民法
- 商法(会社法・その他の商法分野に関する法令)
- 刑法
午後の部
試験形式 | ・マークシートによる択一式 ・記述式 |
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問題数 | ・択一式:35問 ・記述式:2問 |
試験時間 | 13:00~16:00(180分) |
- 民事訴訟法
- 民事保全法
- 民事執行法
- 司法書士法
- 供託法
- 不動産登記法
- 商業登記法
※記述式は不動産登記法1問、商業登記法1問
合格ライン
司法書士試験に合格するためには、
- 択一式試験(午前の部)
- 択一式試験(午後の部)
- 記述式試験
の3つそれぞれで基準点を上回ったうえで、その合計点が合格点を上回る必要があります。
例年だと
- 択一式試験(午前の部):75点/105点
- 択一式試験(午後の部):72点/105点
- 記述式試験:32点/70点
この辺りが基準点となりますが、試験の難易度によって上下することがあります。
そして、この3つの基準点を上回った上で、合格点を上回る必要があるのですが、合格点は基準点よりも年によって上下があります。
合格点 | |
2021年 | 208.5点 |
2020年 | 205.5点 |
2019年 | 197.0点 |
2018年 | 202.5点 |
2017年 | 207.0点 |
このように年によって10点以上の上下がありますが、だいたい基準点の合計に上乗せして25点前後が必要となります。
また、ここまでの合格者は後日、口述式試験があります。口述式試験に合格して初めて司法書士試験に合格となりますが、口述式試験ではほぼ全員が合格となるため、実質的には択一式試験と記述式試験に合格することが、司法書士試験の合格といえます。
合格率
司法書士試験の合格率は、例年5%弱で推移しています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2020年 | 11,494 人 | 595 人 | 5.2 % |
2019年 | 13,683 人 | 601 人 | 4.4 % |
2018年 | 14,387 人 | 621 人 | 4.3 % |
2017年 | 15,440 人 | 629 人 | 4.1 % |
2016年 | 16,725 人 | 660 人 | 3.9 % |
勉強時間
司法書士試験の合格には、一般的に3,000時間程度の勉強時間が必要と言われています。仕事をしながらだと1年間での合格はかなり厳しく、数年間の勉強を覚悟する必要があります。また1年間に1回しか試験が無いため、その直前期はかなり集中して勉強することとなります。一次試験(択一式、記述式)は例年7月に行われるため、薬局やドラッグストアで働いているならば、直前期は業務が比較的落ち着いている時期と言えます。
試験の日程
司法書士試験の筆記試験は、年に1回、例年は7月の第1日曜日に実施されています。 筆記試験はこの1日ですべて行われます。
【2021年の場合】
① 受験案内書、受験申請書の配布
4月1日(木)から
↓
② 受験申請受付期間
4月30日(金)~5月17日(月)まで
↓
③ 筆記試験
7月4日(日)
↓
④ 基準点等の発表
8月16日(月)
↓
⑤ 筆記試験の結果発表
10月11日(月)
↓
⑥ 口述試験
10月25日(月)
↓
⑦ 最終合格者の発表
11月12日(金)
試験合格後の研修
司法書士は、試験合格後の研修が充実した資格です。というよりは、登録して司法書士として業務を行うためには研修受けることが義務となります。
司法書士試験合格後の流れは下記の通りです。
- 中央新人研修
- ブロック研修
- 各司法書士会新人研修
- (特別研修)
費用がそれなりに高額であり、なおかつ時間的拘束もあるため、司法書士事務所に就職する予定が無い場合は受講しない方が多いです。実際に司法書士として登録して事務所に就職しようと思ってから受講することも可能です。
中央新人研修
中央新人研修は、前期中央研修と後期中央研修があります。
前期中央研修はeラーニングとなっており、自宅からの受講が可能です。
後期中央研修は集合研修となっており、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の8箇所に分けられます。内容は、eラーニングの内容を踏まえた座学、訴状の作成などの実務演習、グループディスカッションなどがあります。
費用は前期と後期の合計で43,200円となっています。
ブロック研修
ブロック研修も、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州ごとに分かれて行われます。中央新人研修は日本司法書士会連合会が実施しますが、ブロック研修は全国8つのブロック会が実施します。
ブロック研修ではロールプレイングなどを行い、より実務的な内容を学びます。
費用は32,400円で、中央研修費用の申込時に一緒に支払います。
各司法書士会新人研修
各司法書士会研修は、
- 集合研修
- 配属研修
に分かれて実施されます。司法書士会によってはどちらか一方のみの場合もあります。
- 「集合研修」は座学で、先輩司法書士が新人向けに実務経験を教えてくれる研修です。コロナ禍以降はeラーニングで行うところが多いです。
- 「配属研修」は、実際の司法書士事務所へ配属され、先輩司法書士から実務を学びます。一般企業でいうOJTのようなものです。
(特別研修)
特別研修は登録において必須ではありませんが、多くの方が受講します。
司法書士には認定司法書士という制度があり、認定司法書士になると140万円以下の民事訴訟案件を受注することが出来るようになります。その認定司法書士になるためには、特別研修を受講し、認定考査試験に合格する必要があります。
例え民事訴訟案件を受注する気は無くても、要件事実等の理解を深め、司法書士業務の質を高めるために受講する方が多いです。
受講の費用は145,000円と高額です。
薬剤師業務への活かし方
司法書士試験を通して学んだ内容で、薬剤師業務に活きることはあまり多くないかもしれません。法律知識や登記手続についてはかなり詳しく学べるため、企業内で非常に重宝される存在です。薬剤師から将来的に本社勤務を目指している場合には、例え合格できなかったとしても受験で学んだ知識には価値があります。しかし、実際に試験合格できた場合には、司法書士として司法書士事務所に就職する方が現実的と思われます。
試験データ
資格名 | 司法書士 |
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資格区分 | 国家資格 |
受験資格 | なし |
合格率 | 約5%弱 |
試験料 | 8,000円 |
試験日 | 例年7月第1日曜日 |
問い合わせ先 |