行政書士ってどんな資格?
日本では、企業が業務を行っていくうえで様々な書類の作成、提出が必要になります。それらの書類作成・提出を、報酬を得て代理で行うことができるのが行政書士です。
行政書士の仕事は大きく、
- 官公署へ提出する書類、権利義務や事実証明に関する書類を作る「書類作成業務」
- その申請を代わりに行う「許認可申請の代理」
- クライアントからの相談を受け、アドバイスを行う「相談業務」
の3つに分けられ、身近な法律家として様々な面から企業をサポートしています。
薬剤師に身近なところだと、
- 薬局開設許可申請
- 病院(診療所)解説許可申請
- 医療法人の設立認可申請
などを行っている行政書士もいます。
独占業務
行政書士の独占業務は、以下の3つです。
- 官公署に提出する書類の作成
- 権利義務に関する書類の作成
- 事実証明に関する書類の作成
このように様々な書類の作成を行う行政書士ですが、他の法律によって制限・独占されているものに関しては行うことができません。
たとえば、
- 社会保険労務士法:社会保険・労働関係の書類作成
- 税理士法:税務書類の作成
- 司法書士法:登記書類作成
などがこれにあたります。
そのため、行政書士が業務を行う際には他の士業と連携して業務を行うことも多くあります。
試験科目
行政書士試験は、受験資格に要件など無く、誰でも受験が可能な試験となっています。
試験はマークシート形式・記述式からなっており、マークシート形式には五肢択一式と、文中の空欄に当てはまる語句を20の選択肢から選ぶ多肢選択式があります。記述式は、問に対して40字程度の記述で解答します。
問題数は計60問で、試験時間は3時間になります。
試験形式 | 五肢択一式・多肢選択式・記述式 |
---|---|
問題数 | 60問 |
試験時間 | 3時間 |
行政書士試験の科目
行政書士試験の科目は大きく2つに分けられます。
行政書士の業務に関し必要な法令等
- 基礎法学
- 憲法
- 行政法
- 民法
- 商法・会社法
法令等では、五肢択一式・多肢選択式・記述式の全てが出題されます。
問題数は46問で、244点満点となっています。
配点は、
・五肢択一式:40問で160点(1問4点)
・多肢選択式:3問(1問につき空欄4個)で24点(空欄1個2点)
・記述式:3問で60点(1問20点)
行政書士の業務に関連する一般知識等
- 政治・経済・社会
- 情報通信・個人情報保護
- 文章理解
一般知識等では五肢択一式のみ出題され、問題数14問の56点満点(1問4点)となっています。
合格ライン
合格ラインは、下記3つの要件を全て満たした場合に合格となります。
(1)「行政書士の業務に関し必要な法令等」科目の得点が、満点の50%以上である者
法令等は244点満点のため、50%にあたる122点以上を取る必要があります。
(2)「行政書士の業務に関連する一般知識等」科目の得点が、満点の40%以上である者
一般知識等は56点満点のため、40%にあたる24点以上を取る必要があります。問題数が14問のため6問正解すれば良いのですが、「一般知識」ということで出題範囲が広いため、意外と苦戦することがあります。
(3)試験全体の得点が、満点の60%以上である者
試験全体で300点満点のため、60%にあたる180点以上を取る必要があります。上記2つの要件を満たしても146点のため、更に34点が必要です。一般知識等は出題範囲が広く加点が難しいため、法令等での上積みが必要です。
合格率
行政書士試験の合格率は、例年10%強となっています。試験は、面接や二次試験などが無く、合格点も補正が滅多に無い絶対評価のため、比較的分かりやすい試験といえます。
受験申込数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2020年 | 54,847 人 | 41,681 人 | 4,470 人 | 10.7 % |
2019年 | 52,386 人 | 39,821 人 | 4,571 人 | 11.5 % |
2018年 | 50,926 人 | 39,105 人 | 4,968 人 | 12.7 % |
2017年 | 52,214 人 | 40,449 人 | 6,360 人 | 15.7 % |
2016年 | 53,456 人 | 41,053 人 | 4,084 人 | 10.0 % |
勉強時間
行政書士試験に合格するためには、だいたい500~600時間の勉強が必要と言われています。しかし薬剤師は法律の勉強経験がほぼ無いため、もう少し多く勉強が必要と思っておいた方が良いでしょう。
薬剤師・薬局業務への活かし方
行政書士の独占業務は、薬剤師業務にはあまり活かせないかもしれません。しかし行政書士の試験勉強を通して、民法など様々な法律の考え方について学ぶことが出来ます。薬剤師は基本的には薬剤師法や薬機法の中で仕事をしていますが、当然ですが民法とも大きく関わっています。そういった法律を広く学ぶことで、これまでとは違った視点を持って業務を行うことが出来ると思います。
試験データ
資格名 | 行政書士 |
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資格区分 | 国家資格 |
受験資格 | なし |
合格率 | 10%~15% |
試験料 | 7,000円 |
試験日 | 例年11月の第2日曜日 |
問い合わせ先 | 一般財団法人 行政書士試験研究センター |